1, はじめに
a. 85mm券と120mm券
マルス券(乗車券)が,経由路線が増えると青春18きっぷなどと同様の長いもの(120mm券)になる理由について考えます.
ふつうサイズのマルス券(85mm券,図1参照,縦は57.5mm)には路線どうしの接続駅を磁気符号として10まで書き込むことができます(twitter).これを接続駅符号(エンコード)と呼ぶことにします.
さて,接続駅符号数が11以上の場合は長い120mm券になります(図2参照).「11以上」というのは,券種(片道/往復/連続)や(現在の)マルス端末の種類(係員操作型/顧客操作型[指定席券売機]/旅行業端末)によって異なることは基本的にはありません.ただし別線往復乗車券(i. 別線往復区間 - 4, 新幹線)は例外です.
85mm券は自動改札に通すことができますが,120mm券は通すことができません.そのため青春18きっぷなどと同様に,右下に自動改札非対応の記号(X)が印字されます.
次の乗車券類も120mm券になりますが,ここでは扱いません.
- 各種企画乗車券(青春18きっぷなど).
- 金額入力の社線連絡乗車券.
- 個室券(サンライズ出雲号B寝台個室シングルなど).
- 運賃登録のある区間の社線単独乗車券(発駅で購入する場合に限る).ほかにもありますが,社線単独乗車券は原則として発券しないとしているところもあるようです.
- 社線単独指定券.
- 社線単独自由席特急券(発駅で購入する場合に限る).
金額入力の乗車券の場合,金額入力を行わない部分(JR線部分)の経路(マルス経由線)と新幹線乗換駅の合計が8以下ならばマルス券での発行が可能です.9以上の場合はマルス券での発行ができません(twitter / twitter).
b. 出札補充券
なお,経由路線(と新幹線乗換駅)がさらに増えた場合は出札補充券になります.120mm券になるか出札補充券になるかは接続駅符号の数とは関係がありません.おおむね経路(マルス経由線)と新幹線乗換駅の合計数が16までならばマルス端末での発券が可能です.総称線区(後述)を用いることができる場合はそれ以上でも可能な場合が多くあります(ただし総称線区がかならず1経由と数えられるわけではないようです).なお,別線往復の場合,合計数がおおむね13以上になった場合はマルス端末での発券が不可能になるようです(twitter).
c. 予備知識
次のことに関して予備知識があれば,このあとに述べることを理解しやすいと思われます.ただし初めて出てきたときに簡単に説明します.
- マルス経由線
- 大都市近郊区間における選択乗車
- 特定都区市内([区]東京都区内など)
- 経路特定区間
- 70条区間
- 幹在同一
- 幹在別線区間
マルス経由線については,次の路線をマルス経由線を用いてある程度説明できれば問題ありません.
- 京浜東北線.
- 常磐線.
- 中央本線.
- 大阪環状線.
- 山手線.
d. おことわり
以下の内容は,2022年9月現在,係員操作型マルス端末(MR形・ME形)や指定席券売機(MV形)で乗車券を発券した場合です.過去の場合や,旅客鉄道会社各社のPOS端末で発券した場合は異なることがあります.また,えきねっとやe5489などのインターネット経由の発券予約サービスを用いた場合,係員操作型マルス端末や指定席券売機と挙動が異なることがあります.
現在,ほとんどの路線の接続駅符号がわかってきていますが,まだ知られていない例外があるかもしれません.以下の記述に合わない場合がありましたらお知らせくださると幸いです.
また,調べている途中でいろいろと情報をお寄せくださった方々がいらっしゃいます.ありがとうございます.可能な限り出典としてリンクを設定しておきましたが,それができなかった場合もあります.ご了承ください.